その病は突然に…
 免疫介在性血小板減少症

にいどめ

ある日、我が家の王様犬ロン君(12才)のお腹に妙なアザを発見。赤紫色で打ち身のようだけど、どこかに打ち付けたような記憶はありません。あまりに気持ち悪いのでネットで調べてみると…

にいどめ

え…これヤバいやつ?

そして翌日から怒涛の通院生活が始まる…!
これは、12才で免疫介在性血小板減少症(IMT)になってしまった我が家のワンコの症状と経過記録です。
病状と処置内容の注意


童顔の狂犬!

我が家のハイシニア犬、ロン君

我が家の王様、ロン君はミニチュアダックスフントの12才7ヵ月(2020年7月現在)。我が家へ2番目に来たワンコです。一緒に生活している人・犬以外には敵対心むき出しで吠え倒し、分離不安症気味。なかなか太れない3.9kg弱の痩せ型でしたが、なぜか血小板減少症のピンチを乗り越えてから太れるようになりました。至って元気でワガママな王様ワンコ!
ハイシニアなダックスフントのロン君

けれど5年以上前に「てんかん」を発症、3年前からは「腎臓」(深刻ではない程度)を患っています。現在も2ヵ月に1度は診察を受け、朝は2錠(てんかん1/2錠・腎臓病1錠)、夜は1/2錠(てんかん)のお薬を継続中です。

「てんかん」と言っても倒れてしまう発作ではなく、キュンキュン鳴きながら異常に震えたりバックしたり、同じ場所をグルグル回ったり…と、とにかく座っていられずに落ち着かない・眠れない症状です。薬が合っているのか、発作は1年半に1度くらいしか出ません。

基本的に食に興味がなく、少食傾向。
私がロンの目の前で何か食べていても、匂いを嗅ぎに来るだけで食べようとしません。おにぎり・お菓子はもちろん、たい焼きなどの生温かくて良い香りがするものも×。…本当に不思議なワンコです。
腎臓を患ってからは特に食の好みが狭くなり、急に今まで食べていたご飯を食べなくなることも多いので苦労しています。「お腹が減ったら食べる!」なんてよく言いますが…

にいどめ

いやいや、食べない子は本当に食べませんから

「ワガママなだけ」「飼い主との我慢比べ」などと言っている場合ではないくらい食べません。持病のないプリップリに若いワンちゃんならまだしも、ロンは何かとコジらせているシニア犬。頑固さは年々磨きがかかり、2020年の始めには丸4日食べずにどんどん痩せるなんてこともありました。水だけは変わらず飲むので、もしかしたら水でお腹いっぱいにしているのかも…。ちなみにオヤツは食べます。
ワガママ上等!と2020年から完全手作り食に切り替えました。それでも魔の頑固モードには突入します。腎臓数値は安定しているのに…。この「食」に関するお話は長くなるので、また別の機会にお話ししたいと思います。

Q1.

血小板減少症とは?

正式名称は「免疫介在性血小板減少症(IMT)」。
読み方は、「めんえきかいざいせいけっしょうばんげんしょうしょう」です。簡単に言うと、体内において何らかの理由でバグが起こり、血小板(出血した時に血を固める成分)を害とみなして攻撃、破壊してしまう病気のこと。血小板自体は体内で生産され続けているのですが、免疫による破壊のスピードも速いので、一向に血小板が増えません。そのため出血した際に止血する手段のない体となっています。進行が速い病気とされており、発症してから判明する場合がほとんどのようです。
なお、バグが起きる原因を特定することは難しく、完全に予防することも不可能な病。かかりやすい傾向として「若いワンコ(5・6才頃)」や「男の子よりも女の子」などと言われていますが、ロンはハイシニア(12才)の男の子です。どんな子でも突然発症してしまう病気だと思います。

人1

怪我さえしなければ大丈夫ってこと?

NO!出血は外傷に限ったことではありません。
怖いのは目に見えない場所、つまりは体内の出血。全身に張り巡らせている毛細血管は些細なことでも切れてしまいます。もし血管が切れてしまったら通常は血小板によって止血されるところ、血小板がないため止血できず延々と流れることに…。流れるということは、本来の通り道に血が流れなくなるということ。貧血になったり、異常な場所に血が溜まったり、臓器が正常に機能しなくなってしまう可能性もあるのです。

Q2.

どんな症状?

多くの場合、歯茎からの出血や皮膚の薄い場所に打ち身のようなアザが出来るようです。何らかの理由で毛細血管が切れ、体内に出血している証として打ち身=皮下出血が出現します。この皮下出血は「紫斑(しはん)」と呼ばれ、処置しない限り時間と共に増加。次第に血便、血尿へと繋がり、貧血に陥ってしまいます。

Q3.

早く病院へ行った方がいい?

YES!
血小板が減少しているだけでは、元気がない・食欲がないといった体調の変化があまりないので、1つ2つくらいの打ち身では「様子を見よう!」と判断してしまうかもしれません。しかしたとえ一ヵ所だけでも、私は覚えのない打ち身を発見したらすぐに診察してもらうことをお勧めします。血便・血尿が出ている場合は消化官出血を起こしているので、ただちに病院へ行ってください。放っておくと、あっという間に貧血を起こし、輸血が必要になってしまうかもしれません。

セカンドオピニオンの必要性

こちらに関しては十分ご存知だと思います。
もしあなたがワンコの病気をよく理解してくれている獣医さんと出逢えているのなら、新たに病院を探す必要はありません。でもどこかで不安な要素があるという方は、私の過去の間違いを参考に、一歩踏み出していただければと思います。

初代のワンコ、マロは12才11ヵ月で虹の橋を渡りました。
写真嫌いの食いしん坊で、少しデブデブ。8歳の時に椎間板ヘルニアになりましたが、軽度だったのか克服しています。しかし10才の時に両目を失明…。先天性のものだと告げられました。でも死に直結する病気じゃないし、見えないおかげで可愛い写真も撮りまくれる!
全盲なダックスフントのマロ君

おまけに年を重ねても黒い瞳のまま!(最後まで濁りませんでした)。失明した当時はショックでしたが、気持ちを切り替えて楽しく過ごしていたのも束の間。11歳の時に2度目の椎間板ヘルニアで後ろ足が不自由になってしまいます。
少しずつでも戻ればと足をモミモミしたり、中腰で後ろ足を支えながら散歩したりと不自由ながらも元気に生活していたのですが、この頃くらいから少しずつ痩せ始めました。当時信頼していた獣医さん曰く、

くま

代謝が落ちているから食欲も減るし、どうしてもね~

…と。犬をワシワシ触ってくれる先生ですが、「体調が悪そうで…」と連れて行くと大体は首に注射と抹茶の香りがする緑色の粉末(サプリ系だそうで)を処方する獣医さんでした。マロが亡くなる最後の2ヵ月は寝たきりに。食欲も完全になくなり、水分も欲しない。死因は「老衰ですかね」と告げられました。

今は別の病院に通っているのですが、もしかしたらもっと出来ることがあったのではないかと考えてしまいます。もし今の病院に診てもらっていれば、マロは今頃まだ元気に…。そう考えるとキリがありません。…が、適切な処置をしていただいていたのか本当に謎です。なぜなら今の病院で当たり前な血液検査を一度もしてもらったことがないのです。血便(ゼリー状の血の塊と共に)を見せても、注射と薬だけ…。病気を患っているワンちゃんのご家庭なら分かるかと思いますが…ありえませんよね。

でも私たち家族はその異常な処置に気付けませんでした。その病院しか知らなかったから。獣医さんを信じていたから。1度目のヘルニアを克服できたという実績もあって、先生が言うなら…と無知なまま信頼を寄せてしまっていたのです。マロには本当に申し訳ないことをしたと悔やみ続けています。

獣医さんを疑うのは気持ちのいいことではありません。けれど獣医も様々、処置方法も様々。もし血液検査をしてくれない、不調を訴えても何となくモヤッとした診察で終わる、そんな病院でお世話になっている場合は積極的にセカンドオピニオン、サードオピニオンを考えてみてください。別の病院ではどのように診察するか知るだけでも違いますよ!ぜひ、大切な家族のために。失ってからでは遅いのです。

Q4.

どれくらいで治るの?

「完治」という言葉はない病気かもしれません。
血小板減少症に使われる薬(主にステロイド)に効果があった場合、薬の量を少しずつ減らして血小板の数値が安定するのを待ちます。ずっと少量のステロイドを飲み続けなければいけないかどうかはワンコ次第。また、血小板を一定数維持できるようになっても、何が起因となって発症したか分からないので、どのタイミングで再発するのかも分かりませんなので、一定期間安心できる状態が続いたなら、

医者

2ヵ月に一度程度、血液検査すると安心ですね

という話でした。一度発症したら経過観察は一生続く。そう認識しておいた方がよい病気だと思います。

では次のページからは、実際にロンの症状写真と共に紹介したいと思います。


ご覧いただきありがとうございました