しゃぼん玉 5

親切心

銀さんはチョコレートを頬張りながら言った。
私達は24時間以内に『繋いだ物』を見つけ、元の世界へ戻らなければならない。戻らなければ今の私達はもちろん、元の世界の私達まで消えてしまう…かもしれないと。

「『かも』じゃなくて、はっきり言えよ。大事なとこだろうが。」
「俺が消えたわけじゃねーから分かんねェよ。ただ、目の前で確かに一組は消えちまってる。」
「「!」」

頭の中がゴチャゴチャしてきた。
身体が消える?消滅する?到底理解できない…信じられない。

「八組は『繋いだ物』に気付いて元の世界へ戻った。だが一組だけ気付けなかった。」

消えてしまったのは一番初めの二人だったと言う。彼女達には思い出が多すぎて、何が自分達を『繋いだ物』か分からなかったそうだ。

「で、そいつらは綺麗さっぱり消滅しちまったとさ。」
「そんな…」

言葉が続かない私を、銀さんは小さく笑う。

「そんな顔すんなよ。アイツらは幸せそうだったぞ?」
「幸せ…?消えたのに?」
「辿りきれねェほどの思い出があったんだ。消える間際まで満たされてただろうよ。…ここが。」

親指で自分の胸をさす。

「俺ァそう思うぜ。」
「…キザな言い回ししやがって。」
「ほんとの話だから仕方ねェだろ?実際、俺は今でもアイツらがどっかで元気に暮らしてるような気がするし。」
「消滅…したのにですか?」
「そ。消滅したのに。」
「……、」
「…コイツの感覚なんてどうでもいいんだよ。」

土方さんが冷静に詰め寄った。

「そいつらはどうやって消滅したんだ。」
「…それはアイツらが消えた瞬間の話を聞いてんのか?」
「ああ。終始その死んだ魚の目で見てたんだろ?詳しく話せ。」
「どうせ言っても信じねェよ。」
「言え。」
「……はァァ、」

銀さんは長い溜め息を吐いて、チョコレートの缶を閉めた。

「24時間経った頃だ。金髪の…死神が来た。で、女の方だけ連れて行っちまった。」
「し、」
「死神…?」

それも金髪って…。

「なァ?信じねェだろ。でもパァッと光って、女はそいつと消えちまったんだよ。」

そんな…漫画じゃあるまいし。……いや、銀魂の世界が混じってるんだから、なくはないのかな。

「男の方の…俺は?」
「知らねェ間に消えてた。」
「は!?おまっ、俺だけ雑じゃね!?」
「仕方ねェだろ。知らねェ間にいなくなってんだから。」

チョコレートの缶をタンスにしまう。

「まァそういうわけだから、とっとと見つけろよって話だ。」

信じられない…。

「本当に…消えちゃうんですか?私達。」
「消えるぞー。24時間以内に見つけられなかったらな。」
「……、」
「あと天人の自分と顔を合わせたり、この世界の物を飲み食いしても消えるからな。」
「えっ!?」
「…それは聞いてねェぞ。」
「言ってねェもん。」
「「……。」」
「よく昔から言うじゃねーか。その土地の物を食ったらその土地に染まるって。」
「じゃあ私達は24時間飲まず食わずで探せと…?」
「戻りたいならそれくらい我慢できる。だろ?」

えぇー……、なんか色々と過酷だな。

「ちょっと待て。」

落ち込む私の隣で、土方さんが銀さんを睨みつけた。

「お前は食ってるじゃねェか。」

あ…!

「なんで消えてねェんだよ。説明しろ。」
「そうですよ銀さん!銀さんはチョコを食べてたじゃないですか!」
「俺はそういうのを越えた人間なの。」
「越えた?」
「そ。」

しれっとした顔で返事をする。そしてタンスから再びチョコの缶を取り出し、私達の前に出した。

「お前らも食いたいならどうぞ?」
「いいんですか?」
「どうぞ?ただし食ったらすぐに天人の自分を殺しに行けよ。」
「こっ!?」

殺す!?

「一つの世界に同じ人間は二人存在できない。世の常だ。」
「なっ…!」
「言わば今のお前らはこの世の溢れ者だからな。生きたいなら、元からこっちの世界にいたお前らを消すしかない。」

言ってることは…分かる。分かるけど、消えるとか殺せとか…全部が極端すぎる。

「…なら坂田、お前が食っても消えてない理由は……」
「そういうこと。俺はここを気に入ったんでね。」
「銀さん…、」

天人と言えど、自分を殺すなんて…。

「ここはいいぞ?困り事がありゃ誰でもすぐに手を貸してくれる。単なる江戸より何倍も楽で快適だ。」

有意義だと話す銀さんに、言葉にならない感情が湧く。
それでも銀さんがいいのなら…いいのだろう。私が何かを想うのは筋違いで…大きなお世話だ。

「しっかしアレだよな、今回のお前らは過去にも未来にも関係がない二人なんだろ?」
「…ああ。出会って数時間だ。」
「なら消滅しちまうのもアリじゃねェか?戻れるかもしれねェじゃねーか。今までのヤツらは目的があってここに来てたが、目的がねェなら、自然と元の世界に戻れるかも。」
「『かも』程度の賭けに乗れるか。ハイリスクすぎる。」
「ま、そりゃそうだな。」

銀さんは軽く笑って、

「せいぜい頑張れよ。俺としても『繋いだ物』に気付いてくれる方がいいし。」

再びタンスにチョコレートをしまった。けれど代わりのように、小さな木箱を取り出す。

「それは?」
「これはお前らの『繋いだ物』を入れる瓶。」

木箱を開けた。中には小さな黒い瓶が入っている。

「そこに入れるんですか?」
「ああ。歴代の奴らも、この瓶に入れてきた。」
「へー…。」

ただの瓶みたいにだけど、どことなく神秘的な瓶に見えてきた…。

「『繋いだ物』が分かったら報告に来い。俺がそれを手に入れてやる。」
「なんでお前が。」
「金もツテもないお前らじゃ用意できないだろ?」
「…フン、そこで見返りを要求するって算段か。」
「ご名答。報酬は……そうだな、その服で許してやるよ。」

土方さんを指さした。

「えっ、隊服?」
「そ。上着だけでいいから。」
「こんなもんでいいのかよ。どうする気だ?」
「個人的に使う。」

ニヤッと笑った。土方さんは呆れたように溜め息を吐く。

「ダメだ、隊服は渡さない。断る。」
「はァ!?おま、どの道そんな服着てると目立つぞ!?ここの真選組も同じ服着てんだから!」
「だったら脱ぐ。お前には渡さん。」
「なっ、安いもんだろうが!元の世界に戻ってまた買やいい話だろ!?」
「断る。」
「くっ……ああそう。ま、その時になって気が変わったら言えやいいさ。心の広い俺は受けてやるよ。」
「変える気ねェから。見返りが欲しいなら俺達が見つけ出すまでの間に他を考えてろ。」
「……。」
「……。」

二人が睨み合う。
…この状況、どうでもいい時はニヤニヤものだけど、今は面倒くさい…。

「あ、あの行きましょうか土方さん。」
「……ああ。」

立ち上がる。銀さんは「いいか?」と念押しした。

「戻る期限は24時間以内。『繋いだ物』が分かったら俺のところに来ること。」
「わかりました。」
「戻りたいなら死に物狂いで探せよ。もし分からなかった時は…」
「消えるんだろ。」
「ああ。だが生きる道はいくらでもあることを忘れんな。」

真剣な目つきをして、

「分からなかった時は天人のテメェを殺しに行きゃいい。そうすりゃこの世界で生きていけんだから。」

そう話した銀さんの言葉は、後々も、ふとした時に頭の中でよみがえっている。何が正解で、何が不正解なのかは、…未だに分からない。

「…土方さん、」

長屋を出て、土方さんと『繋いだ物』を探し始めた。とりあえずもう一度だけ私の道を辿る。

「なんだ?」
「この世界、まだ夢だと思ってますか?」
「…いや、さすがに。お前は?」
「私も…現実だと思います。」

夢にしては話が細すぎる。幻にしては内容が複雑すぎる。ただ、現実にしては……

「…酷ですよね。消えたくなかったら天人の自分を殺せ、なんて。」
「今の俺達は溢れ者呼ばわりだしな。こちとら元の世界から出たくて出たわけじゃねェっつーのによ。」
「そうですね…。……銀さんは戻りたくなかったのかな。」

天人の自分を殺してまで、ここで生きたかったなんて。

「よほど肌に合ってたんだろうよ。」
「でも新八君や神楽ちゃんを残してまで?」
「所詮アイツはゴキブリみたいなヤツってことだ。環境が良けりゃどこでもいい。誰と居るかなんて関係ねェんだよ。」

それはそれで銀さんらしいようにも思う。だけどちょっと…寂しいな。

「土方さんならどうします?」
「どうとは?」
「もし『繋いだ物』が分からなかった時、消える道を選ぶのか、ここで生きる道を選ぶのか。」

土方さんは少し思案して、

「どうだろうな。その時にならねェと…想像がつかねェ。」

浅く息を吐き出した。

「紅涙はどうだ?」
「私は……」

消える?天人の自分を殺す?…もちろん、

「消える道を選ぶと思います。天人の自分を…殺せないから。」
「強いのか?」
「え?」
「天人の紅涙が強くて殺せないのか?」
「あー…いえそうじゃなくて、『殺す』ってことが…出来なくて。」

当たり前だけど、私は今まで人を殺したことがない。殺したいほど憎んだことはあっても、どう近づいて、どう隙を狙って、どう殺すかなんて……計画したころで実行できない。

「土方さんは出来ますか?天人の自分を…殺すこと。」
「出来る。」

そ、即答…。

「必要があればの話だがな。」
「自分とはいえ、罪悪感が湧きません?」
「湧かねェな、自分だから余計に。最大の自己犠牲だ。」

そういうものかな…。

「まァ殺して戻れるわけじゃねェし、殺すことはねェさ。『繋いだ物』を24時間以内に見つけて戻りゃいいだけの話だ。」

…うん、

「そうですよね!」

最悪を考えるには、まだ早い。探し尽くしてからだ。

「24時間以内って明日のいつくらいになるんでしょうね。」
「俺達が会ったのは11時過ぎだから…余裕を持って10時くらいじゃねェか?」
「明日の10時かぁ…。」

今は14時。残された時間は少ない。チャチャっと見つけて帰らないと!
……なんて意気込んだところまでは良かったけれど。

「何度見ても、それっぽい物はありませんよね…。」
「至って普通の道だな。『繋いだ物』っつーくらいだし、何か紅涙の世界と共通するもんなんだろうが…。」

それっぽい物はなく、『繋いだ物』らしき存在は見つからない。

「この道は一旦ここまでにして、土方さんが来た道を歩きましょうか。」
「そうだな。」

一度コンビニ前へ戻り、再スタートをきる。

「土方さんはどっちから来たんでしたっけ。」
「そこの線路の向こうからだ。」

顎でさす先には、踏み切りがあった。

「あっちは住宅街ですよね。」
「いや?向こうは大通りだぞ。」
「…え?」

私の世界では住宅地のはず。ということは、線路の向こう側が銀魂の世界になってる…?

「お前と会ったコンビニへ来る前、俺は大通りで事故処理してたんだ。辺りを確認して、気付くと周りに誰もいなくなっててよ。」

話しながら線路を渡る。渡りきったところで、極普通に瞬きした瞬間、パッと景色が変わった。いや、変わっていた。

「わっ!」

さっきまで見えていた近代的な家は、レトロ感漂う木造の家屋に。空き地だった場所には、なぜかリサイクルショップが出来ている。
って、このリサイクルショップ……

「『地球防衛基地』!!」
「ッ!?何だよデカい声で。目立つ行動禁止。」
「あっ、す、すみません。つい興奮しちゃって…。」

土方さんは私の視線を追い、リサイクルショップを見た。

「ああそうか、ここは銀魂の世界なんだな。」
「あの…ちょっとだけ入りません?」
「入らねェ。」
「ほんとに少しだけでいいですから…」
「ダメだ。忘れたのか?俺達には時間がねェんだ。」

うっ…そうでした。

「立ち寄るのは『繋いだ物』を見つけた後。いいな?」
「!!っじゃ、じゃあ早く見つけましょう!」
「当然。そのつもりだ。」

フッと笑う。その笑みを見て、少し心臓が跳ねた。

「……、」

こうして一緒に歩いていると、つい忘れてしまう。土方さんは漫画の中にしかない存在だってことを…。

「あそこに見える道、あるだろ?」

指をさす。交通量の多い道が見えた。

「あれが大通りだ。」

しかし行き交う車はやはりハイブリッドカーばかり。

「土方さんが事故処理した車もハイブリッドカーだったんですか?」
「違う。俺達の街で走ってる普通の車だ。」
「そうなると事故処理してる時はまだ自分の世界にいた、ってことですよね。」

どのタイミングでここへ来たんだろう…。

ひとまず大通りまで出てみた。
土方さんが事故処理したのは、運転ミスによる単独事故。車が電柱に衝突した状態で停まっていたらしい。

「この電柱、車体に押されて倒れ掛けてたはずなんだが…」

そう話す電柱は真っ直ぐに立っている。

「ここは元の世界と違いますから、この世界で事故はないんでしょうね。」
「…あ。」

一言漏らして、土方さんが怪訝な顔つきで固まった。

「どうしました?」
「今俺…なんかヤベぇことに気付いちまった気がする。」
「ヤバいこと?」
「俺達を『繋いだ物』、この世界にないんじゃないか?」

っえ!?

「な、なぜ…!?」
「元の世界にある『何か』をきっかけにここへ来たんだろ?だったらこの世界には――」
「あ……。」
「…な?」

二人で頬を引きつらせる。い…いやしかし!

「それでも他の人達は、無事に見つけて戻れてるんですから。」
「それはそうだが…」
「大丈夫ですって。きっとこの世界にもありますよ!」

そうじゃないと絶望すぎる。私達には初めから消滅する道しかないことになるんだから。

「土方さんは事故処理した後、どっちに向かって歩いて行ったんですか?」

辺りを見渡す。通行人はいるが、私達を気に留めている人は誰もいない。

「確かここを右…いや、もうひとつ先を曲がった…はずだ。」
「なんだかあやふやですね。」
「あの時は撒くことに必死でな。適当に走ったせいで…あまり覚えてない。」

そっか、コンビニへ辿り着くまで追われたから……ということは、この辺りを逃げてる時は既にこっち側の世界にいたってことなんだ。

「土方さんがさっき『事故処理の時に誰もいなくなった』って言ってましたけど、あれは…?」
「直前まで総悟達と一緒にいたんだが、顔を上げた途端いなくなってたんだ。」

存在していたものが一瞬で失くなった…?

「怪しいですね…その瞬間。」
「そうは言っても大したことはしてねェんだがな…。」

思い起こすような顔つきで、土方さんが懐へ手をやる。けれど、

「チッ、そうだった。煙草、切れてるんだったな。」

懐から手を抜き出した。何度となく見ていた仕草に思わずクスッと笑う。

「そろそろ我慢の限界ですか?」
「禁断症状が出そうなくらいにはな。」

相当じゃん…。

「やたらと煙草の自販機が目に付くしよ…、」

言われれば、煙草の自動販売機がある。

「もう何でもいいから煙が吸いたくて仕方ねェ…。」
「ちょ、ちょっと土方さん、目が虚ろですよ?しっかりし――」

「そこの兄さん、」
「「!?」」

声を掛けられ、二人一斉に振り返る。温厚そうな雰囲気を持つ初老の男性が「すみませんね」と微笑みながら会釈した。

「チラッと話が聞こえまして。これ、良かったらどうぞ。」

そう言って、煙草の箱を差し出した。

「えっ、これは…」
「そこの自販機で買ったものの間違えましてな。吸ってもらえると有難い。」

男性は私達が天人でないことに気付いていない。土方さんは差し出された煙草を穴が開きそうなほど見つめていた。

「貰っても…いいのか?」
「どうぞどうぞ。」

これは貰うな…。

「……いや、悪い。ありがたく貰いてェとこだが、」

あら?

「手持ちの金がねェんだ。」
「ああいやいや。いりませんよ、この程度。気にせんでください。」

「ほれ」と言って男性は土方さんの手を取り、煙草を握らせた。

「これはもうアンタの物だ。なんならライターも付けてあげよう。」
「いや、だがっ」
「遠慮せんでください。困った時に助け合うのは当然のこと。同じ愛煙家なら、なおさらですよ。」

じゃあ、と言って男性は立ち去った。

「…ビックリするくらい良心的な人でしたね。」
「ああ…。」

小さくなっていく男性の背中を見ながら、『困り事があればすぐに手を貸してくれる』と言っていた銀さんの言葉を思い出した。

「……、」

土方さんは手にある煙草をじっと見つめる。

「…見たことのない銘柄だ。」
「記念に取っておきますか?」
「…まさか。」

箱の包装を開け、

「吸うに決まってんだろ。」

煙草を一本取り出した。それを口に咥えようとした動作に、

「待ってください!」

慌てて止めに入る。土方さんは目を丸くした。

「なんだよ。」
「もしかしたらダメじゃないですか?煙草。」
「あァ?」
「その煙草、ここの世界の物ですよね?吸えば消滅しちゃうかも。」

『よく昔から言うだろ?その土地の物を食ったらその土地に染まるって』

「…たかが煙だ、問題ない。」
「でもこの世界の物じゃないですか。軽い考えで吸うのは危険ですよ。」
「ならこの世界の空気はどうなる?」

空気…?

「空気もこの世界の物だろ。それを吸ってる俺達は消滅してない。」
「だ、だけど空気と煙草は別物で…煙草はこの世界で作られたものだし……。」

言いながら、自信がなくなってくる。
身体の中で消化しない物なら大丈夫なのかな…?でも煙草の煙で病気になるよね。それだけ身体に影響するってことは、この世界の物を取り入れることと同じじゃないの…?

「……、」
「……。」

…分からない。分からないけど、

「やっぱり…我慢した方がいいですよ。」

消滅する可能性があるなら、手を出さない方がいい。

「土方さんも言ってたじゃないですか。『ハイリスクな賭けには乗れない』って。」
「…っせェな。」
「!」

「…もういい。向こうで吸ってくる。」

土方さんが背を向けた。

「えっ、待っ……」
「ついてくんな。」
「!!」

初めて壁を感じた。…違う、初めて壁を作られた。
苛立った声音と、うんざりした目つき。私に対する、わずらわしそうな態度。

「俺が消えてもお前には関係ねェだろ。」
「っ…、」
「お前はお前で『繋いだ物』を探せ。じゃあな。」
「えっ、待っ…」

背を向け、土方さんが歩いて行く。私からどんどん離れていく。
…うそ、本気?ついさっきまで一緒に頑張ろうとしてたのに、こんな簡単に別れちゃうの?

「…土方さん……、」

呼んだ声は届かない。
私の言葉は知らない世界の中で、何事もなかったように埋もれて…消えた。

にいどめ