お金が全てじゃないけど…
やっぱり気になる収入事情②

にいどめ

前回のお話で「長編の依頼を受け続けると高収入の近道」とお話ししました。

しかしこれを叶えることは、ほぼ不可能です。
今回は「ほぼ不可能」な理由と共に、お金の面をもう少し詳しく見ていこうと思います。

続・シナリオライターの収入は…




Q3.

なぜ長編で高収入を維持できない?

「長編=高収入」ですが、長編を毎月書け続けることはほぼ出来ません。
理由は配信側の運営方法にあります。

たとえば、A君~E君まで5人のキャラクターがいるとして。
A君の本編を6月に配信した場合、翌月7月に続編が配信される…なんてことは、あまり目にしませんよね。
おそらく翌月配信されるストーリーは単発もの(夏がテーマのイベント系シナリオ)とし、続編の“ぞ”の字もないはずです。

配信側は企画段階で続編の配信を決めていても、配信日はずーーーっと後に予定しています。企画段階で具体的な日にちまで決めていません。

そんな続編の依頼がシナリオライターの元へ下りてくるのも、ずーーーっと後。
「早めに書いてもらって、いつかの配信日まで保管しよう」なんて懐で温めておくこともないので、先駆けて依頼だけが来るということがないのです。

このように、ほとんどの恋愛ゲームアプリは頻繁にメインシナリオを配信しません。
そのため長編の依頼が毎月くるとは限らない=毎月書き続けられないというわけです。

でもキャラクターはたくさんいるし、どうにかなるんじゃないの?

悲しいことに、どうにもならないのです…。それには3つの事情があります。

避けられない3つの事情
① キャラに限りがある

A君~E君まで5人のキャラクターがいる場合、毎月1キャラの長編を受注すると5ヵ月は書き続けられます。
しかし上でもお話しした通り、続編の配信はずーーーっと後。「全キャラの本編配信が完了した翌月から続編配信スタート!」とはなりません。

仮に続編の配信がすぐスタートしたとしても、継続するのは合計で10ヵ月。
その後の続々編の配信も決まり、これまたすぐに配信スタート…なんて流れになるアプリはさすがに存在しないと思います。

② 他のシナリオライターが書く場合もある

実は1つのアプリには複数のシナリオライターが属しています。
担当者は配信するシナリオを誰に書いてもらうのがベストか判断し、各シナリオライターへ依頼しているのです。

「C君のシナリオは○○さんがいい」と判断すれば、C君の長編依頼は○○さんの元へ。
全ての長編が自分の元へ来るとは限りません。

③ 全キャラの配信が確定していない

続編などの長編もの配信は、人気キャラを優先して制作されます。
配信側が「まだ続編を出すほどじゃない」と見れば、そのキャラクターの続編は先延ばし。いずれ配信されますが、いつになるかは未定で、トントン拍子に全キャラの続編が進行するわけではないのです。

この3つの事情から、長編を書けない月も当然ある=高収入を維持できない、という結論になるわけです。

なお、残念ながら長編は経験の浅いシナリオライターに回ってきません。
担当者から「書いてみませんか?」と打診された後、初めて取り組めるようになります。

声が掛かった時は、“長編を任せられるほど成長した”という証でもあるかもしれませんね。

さて。

ここまでの内容だと、長編が書けないと高収入を見込めないというニュアンスで伝わっているかと思います。

けれども「絶対に無理」というわけではありません。
単発ものをたくさん書けば、長編依頼に近い収入を得ることは可能です。

ただこの単発ものには依頼数に限界があるので、どうしても報酬が頭打ちしてしまいます。

報酬が頭打ち?

配信されるストーリーは「今月○○話分を配信」と数が決まっています。
なので「もっと書かせてくれ!」とこちらが頼んでも、配信側は「今月はこれ以上依頼できるものがなくて…」と返すしかありません。「じゃあ翌月分を前倒しでください!」と願っても、「翌月分の準備はまだでして…」(本当にまだ出来ていない)と言われるのでどうしようもないのです。

こういった意味でも、やはり1件あたりの報酬が大きい長編は高収入への近道というわけです。

どうしても高収入を目指したい場合

ずばり、アプリの掛け持ちです。

自分の担当するアプリは1つでないといけない、などという決まりはありません。社内の他アプリにシナリオライターを必要としている部があれば掛け持ちすることが出来ます。

こういう点がアプリをたくさん配信している会社だと助かりますね。
もちろん、自身で他の企業と新たに契約することも可能ですよ。

担当アプリを2つ、3つと増やしていけば依頼が増え、必然的に報酬も増額し、高収入へと繋がります。
毎月時間に余裕がありすぎて…という方は、担当者に一度相談してみるといいかもしれません。

ただしご注意を。
初めの頃はやる気に満ちているせいもあり、何かと余裕に感じるかもしれません。が、翌月も同じ余裕があるでしょうか?

担当アプリを増やすということは、
暇な月だけでなく、それ以降もずっと継続して掛け持ちで書き続けるということ。

「はたして自分は本当にいくつもの世界観や設定を把握し、書き続けられるのか…」

しっかりと考えてから相談してみてください。
ちなみに、2ヶ月連続して「暇だー!」と思うことはありませんでした。

まとめると、

商業シナリオライターと言えど、依頼がなければ報酬もない。

さすがに依頼が1件もない月はありませんでしたが、10万越えが半年間続く…なんてこともありませんでした。

「平均収入額が7万」というのも、ほぼ毎月7万だったという意味ではなく、毎月の報酬額が全く違う3年間を月々に平均してみた時の金額なのです。

Q4.

もしかして副業向きの職業?

在宅のお仕事で、執筆時間も自由。そうなると…

金額的にも副業として丁度いい気がする!

と思われた方も中にはいるかもしれません。

しかしお気をつけて。
1ヵ月に1つだけ依頼を受けたとしても、制作時間は通常通り、文字数に応じた納品日が指定されます。

たとえば、
依頼内容「5000字×2話」が月曜に到着した場合。
「平日は仕事だから次の週末に書き上げよう」という計画では遅い可能性があります。
なぜなら、この程度の文字数であれば、納品日が金曜日に指定されていることも少なくないからです。

これは配信側の急ぎ具合にもよりますが、基本的に依頼の内容量が少ない=制作時間も短くて済む=納品日の指定が早いとしています。ですので、今月の依頼が1つだけだからゆっくり取り組めるというわけではないのです。

そうなってくると、本業との兼ね合いが難しくなる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私なら副業にシナリオライターを選びません。

結論として、

身も蓋もない言い方をすれば、お金がたくさん欲しいなら普通に働くことをお勧めします。

…とは言え、
どんな職業にもあるように、この仕事でしか経験できない充実感や面白さがもちろんあります。
そのお話は、また次の記事で。




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