p class=”mb1″>在宅シナリオライターに唯一決められている時間は納品日です。
それ以外は自由な在宅ワークなので、1日に何時間書くか、はたまた書かないかは自分次第。
ここでは、実際に私がどのような時間配分で執筆し、1日を過ごしていたか紹介します。
執筆期間中は…
-
- Q1. どんな時間配分なの?
- “仕事場が家だから”あるある
- Q2. なぜそんなに時間が必要?
Q1.
どんな時間配分で過ごしてるの?
まずは下図をご覧ください。
執筆真っ只中な1日を円グラフで表現してみました。
合間にある黄色エリアは食事や入浴、
執筆エリアは、余程のことがない限りPCの前から一歩たりとも動きません。
…時間配分と言っていますが、どう見ても時間配分が出来ていないダメな例ですね。
この流れで3年。忙しい月の休みは4日ほど。
たくさん依頼をいただけるのはありがたいことでしたが、さすがに精神的に疲弊しました…。
こんな時間配分で毎日を過ごすため、執筆期間中はどんな時もシナリオのことを考えてしまいます。
在宅で仕事をすると、何かと区切りをつけるのが難くなりがちです。
これさえ管理しておけば、健康的に活動することが可能…だと思いますよ。
気持ちを切り替えるタイミングがない
仕事をするのが家ならば、休憩するのも家。
環境が変わらないので、何をしていても仕事のことを考えてしまいます。
いつでも仕事をしてしまう
帰る必要がないので、時間制限なく作業が出来る上、いつでもデスク前へ戻れてしまいます。
そのため、「もう明日にしよう」と思っていても、「キリがいいところでやめよう…」などとダラダラ取り掛かってしまうのです。
こんな具合で、思い返せば毎日とにかくシナリオを書き上げることだけを基準とした不規則な生活を送っていました。
「書くことに慣れれば、もっと早く終えられるんだろうな」と思っていたのですが、残念ながら私は書けば書くほど遅くなっていったのです…。
Q2.
なぜそんなに時間が掛かるの?
依頼が増えて時間が掛かるのはもちろんなのですが、
たくさん書くということは、過去の文章と表現や言い回し・セリフをかぶらないようにするということでもあります。
数をこなす=既出の表現方法が増えていく=この書き方は前に使ったかも…?となり、考え直す時間も増えるのです。
加え、ストーリーを書く上で調べることは山ほどあります。
依頼を受けると、担当者から「このような展開でこのように書いてください」と細かく内容を記したファイル(プロット)が送られてきます。
物語の構成。
どのような流れでストーリーを書くか記されたファイル
このプロットに書かれた内容を書いていくには、プロットに出てくる事柄をある程度知っておかないと書き進めることが出来ません。
…ややこしい言い方ですね。たとえばプロットに、
恋人A君とコスタリカへ旅行。
ボートでジャングル探検ツアーに参加し、夜は地元の食事に舌鼓。
なんて内容が組み込まれていた場合。
最低限、調べなければ書けない事柄は以下です。
- コスタリカはどんな国か
- コスタリカ内での移動手段は何か
- ジャングル探検ツアーはどんなものか
- 食事はどんなもので、味はどうか
移動手段は表現方法でごまかせるかもしれませんが、他の事柄はある程度知っておかなければ書けません。
また、書き進めていれば「ここはどうなってるんだろう?」という点もたくさん出てくるので、それを調べながら書いていると非常に時間が掛かる…というわけです。
食事の味なんてことまで必要!?
必要です。
プロットに「舌鼓」と書いた制作者の頭には、「二人で食事を楽しみながら」という情景があるはず。
つまりその情景を求められているということなので、展開としてヒロインかA君のどちらかに食事の感想を言ってもらわなければいけなくなるのです。
ちなみに、プロットを確認して「これを世の中のヒロイン(ユーザー)は体験したいと思う…?」という時は多々ありました。が、余程のことがない限り、プロット通りに書きます。
分からないことは担当者が教えてくれないの?
「これをイメージしています」という程度なら教えてもらえます。
ふわっとしか教えてくれないのは、「シナリオライターさんで色んな部分を引き出してほしいから」だそうですが……ま、まぁ少しでも教えもらうと道が開けますよね。
Q2.
1日でどれくらい書けるもの?
人それぞれ異なりますが、私の場合は5000字/話を最大2話が限界でした。
調べることが少なく、スムーズに書けた場合で2話。
それなりに調べ、展開に少し悩んだ場合は1話。
なかなか悩んでいる箇所を解決できなかったり、表現方法に頭を抱えた時は1話の半分すら書き上げることが出来ません。たった2行のために1時間考えてしまうこともよくありました。
「間に合わないかも!」という時、「納品日当日の何時までならOKなの!?」と思いつつも、聞くに聞けない状況に陥ったことがあります。
結果から言うと、はっきりとした時間はありません。「退社時間までに頂ければ…」という程度です。
「もっと具体的に!」という方
私は17時頃を目安にしていました。
「17時頃までに無理かも」という場合は、少し早めに「今日の深夜になるかもしれません…」等と伝えておきます。そうすることで担当者も予定を変更しやすくなります。
その際「○日までなら大丈夫です!」と日にちに猶予をくれる場合もありますよ。
私は1日をあれだけ執筆に費やしているにも関わらず、納品日に間に合わないことが2度もありました…。
ただでさえ疲労でイライラしているところに、間に合わない焦りが混じるわけですから、もう泣きたいくらいのパニック状態。
もし今からシナリオライターを目指そうとしている方や、まだ自分のスタイルを見つけられていない方がいらっしゃれば、声を大にして伝えたいです。
頑張りすぎないでください!
1日に書く量を決め、厳守する
「今日は何文字書こう」や「この展開まで書こう」、「○時まで書こう」と執筆条件を1つだけ決めることです。
…と偉そうに言っていますが、これは非常に多くの方が実行されている比較的普通の行動。
それに付け加え、私が重要だと言いたいのは厳守することです。
自分で決めた1日の量を予定より早く出来上がったとしても、明日の分までは手をつけない。
これがなかなか難しいのです。
つい「早く出来たから、もう少し先まで…」としてしまうと、1年後にはダメな時間配分が待っています。私が何よりの証拠です。
納品日まで毎日どれくらい書けばいいか分かっていれば、圧迫した生活を送る必要なんてないのです。
そんなこと言っても、毎日書けばいい量が分からないし…
はじめの頃は分かりませんよね。
自分がどれくらいの時間で何文字書けるということすら把握できません。
ですので、把握できるようになるまでは執筆時間を決めず、自分の疲れすぎない範囲で書き進めてください。
あくまでも、疲れすぎない範囲です。
すぐに「疲れたー!ちょっと休もう」となると、納品日に間に合わなくなってしまいます。
昔から夏休みの宿題を最終日にまとめて仕上げる、いわゆる『お尻に火がつかないと頑張れないタイプの方』には危険なお仕事ですね。
漫画家などの仕事と違って、依頼されたシナリオを書けるシナリオライターは他にもいることを忘れずに取り組んでください。
「もっと早く書かないと…!」と焦る必要はありません。
短い時間でたくさん書けるのは素晴らしいことですが、
急いで薄っぺらい内容になってしまうくらいなら、時間を掛けてでもきちんと仕上げた方がいいです。
手を抜いたところはバレますよ。
後々に「この部分を書き直してください」と修正依頼が来ます。
なお、修正依頼が来た場合は、新たに納品日を指定されます。
量にもよりますが、大体は修正依頼日から3日~4日前後。
この作業がかなりの苦行でした…。
狙って書いている箇所などに修正依頼があると、いろんな感情が湧き出て……と言い始めると長くなるので、この件は別の機会にお話しします。
執筆期間中はなかなか必死な毎日を過ごしました私ですが、はじめた当初はこの生活にすら充実感がありました。
ですが次第に新鮮さも薄れ、必死に取り組むだけの日々になると、
「この先も引きこもりながら執筆を続けて…私ってば大丈夫!?」と言い知れぬ焦りを覚えました。
辞めたところでアクティブになるわけでもないのですが…。
ちなみにこの言い知れぬ焦りが、シナリオライターを辞めた1つ目の理由です。
…そう。「1つ目」です。これだけじゃありません。
2つ目については、少しグチっぽくなる次回の記事で。
ご覧いただきありがとうございました!