我が家のハイシニア犬ワンコ、ロンがある日突然なった『免疫介在性血小板減少症(IMT)』。
免疫介在性血小板減少症? |
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実際の症状写真は? |
あれから2021年6月で1年。
今も薬を飲み続けていますが、基準値の血小板数を維持して元気に暮らしています!そんな日常を取り戻せたのは「プレドニゾロン錠」というステロイド薬のおかげ。
今回はステロイド薬・プレドニゾロン錠を1年間飲み続けて表れた副作用を紹介したいと思います。
Q1.
副作用は絶対に出る?
ステロイド薬は「飲み続けると副作用の出る確率が高い薬」とされています。主な副作用は1つ前の記事にも書いた通り、
(体重4.5kg程度でプレドニゾロン錠を半錠、2年~3年飲み続けた場合)
・食欲の増加
・筋力の低下(下腹がぽっちゃりする)
・皮膚が薄くなる
・毛が薄くなる
…のようなもの。
ではこれらは絶対に出るのか?
答えは、いいえ。
必ずしも100%ではないそうです。ただ、ほとんどの場合は何かしらの副作用が出るそうで…。やはり効果がある分、リスクも高いということのようです。
ちなみに副作用『筋力の低下』について。
「お腹がぽっちゃりしてくる」とは聞いたのですが、当時もう少し獣医さんに聞きました。
筋力の低下とはどのくらいですか?
特にお尻周りが痩せてしまうワンちゃんが多いですね
散歩に行っていればある程度の筋力は維持できますか?
そうですね、そのあたりは大丈夫だと思います
ならば良し!
…良くはありませんが、適度に運動していれば日常生活に支障を来たすほど低下するわけでないと聞いて少し安心しました。
Q2.
見えてきた副作用
ロンは比較的副作用が出にくい体質だそうです(獣医談)。
そんなロンでも1年間「プレドニゾロン錠」を飲み続けると、副作用らしき症状が表れ始めました。では具体的に見ていきましょう。
食欲がすごくすごく増した
これは投薬初期の2種の薬を飲み始めた直後から表れていた症状です。けれどステロイド薬を1種に減らそうが半錠に減らそうが、さほど食欲の減少に繋がることはありませんでした。
つまり、血小板減少症になってからず~っと食いしん坊!
腎臓数値(Cre)が相変わらず(慢性腎臓病です)の数値でも食欲に変わりはありません。今までであれば「魔の断食モード」に突入していても全くおかしくない数値なのに…!
正直、この副作用には非常に助けられています。
食べてくれないことには本当に悩まされていたので、美味しそうにガツガツ食べてくれる姿はすごく嬉しい!!(とは言っても「なんでもガツガツ!」ではなく、好き嫌いはちゃんと残っています)
「どんどんお食べ~!」と言ってあげたいところですが、そこは残念ながら慢性腎臓病。Cre数値を意識した食生活でお過ごし頂いております。
つまらん!
毛がやや薄くなった
目に見えて毛が抜けているということはないのですが、部分的にオーダーコート(上毛)が生えなくなったように見える場所があります。特に胸の辺りやお腹周り、そして首の後ろ側。下の写真はトリミングに行く前の首の後ろ側です。オーダーコート(上毛)とアンダーコート(下毛)の差がよく分かります。
毛束というか、分け目が出来ているように見えますよね。
しかしこの箇所がオーダーコート(上毛)の長い毛が伸びてこない箇所。写真を拡大すると分かりますが、オーダーコート(上毛)は伸びなくともアンダーコート(下毛)はビッシリ生えています。なので完全に毛がなくなってしまったわけではありません。が、周りの毛が伸びると少し目立ってくるという…。
ただ、ロン君は今現在で13才です。加齢によるものということも十分に考えられる歳。そのため「この薄毛は絶対に副作用だ!」と言いきれませんが、タイミング的に合致している症状の一つです。
皮膚が少し黒ずんだ
こちらも加齢によるものかもしれませんが、ステロイド薬を継続した数ヶ月後から目に付き出した症状です。お腹付近や首の後ろ側が黒ずんでいます。
「皮膚が黒ずんでいる」ので、当然皮膚が見えなければ黒ずみも分かりません。毛が密集している首の後ろは角度によって分からなかったり、付近のオーダーコート(上毛)が伸び始めると見えなくなります。その分、お腹は毛が少ないのでよく分かる場所なのですが…
こうして見ると、お腹の黒ずみは高齢によるシミかも…?
ちなみに毛が薄くなっている部分=黒ずんでいる場所、のように同じ場所に症状が出ているように思えますが、胸の辺りに黒ずみは出ていません。毛が薄くなる箇所と黒ずむ箇所は同じ場所に出る、というわけではないようです。
下腹が少~しだけ垂れてきた
これに関してはまだそこまで分かりやすくないのですが、少しずつ下腹が垂れてきたかな?という雰囲気。お腹がペコペコの時の写真では若干垂れている気が…しなくもないです。
「この程度なら垂れているとは言わない!」と私は判断しがちなのですが、診察に行った時にたまに獣医さんから「お腹が少し垂れてきたかな?」と言われるので、おそらく少しずつ垂れてきているのだと思います。
…なお、ステロイド5ヵ月目のロンが怯えているように見えるのは、大嫌いなトリミングから帰ってきた直後で「オマエラミンナ信ジナイ!」モードになっているためです。
お腹の皮膚が薄く(カサカサに)なった
元からあまり丈夫ではないのですが、血小板減少症を発症した後の冬から妙にお腹の皮膚がカサカサし始めました。まさに乾燥肌のような感じで、細かいシワがたくさん寄っています。
獣医さんによると、これは薬の副作用で皮膚が薄くなっているせいとのこと。
当時は「そっかそっか~」と受け流していました。乾燥肌程度なら命に関わることでもないし…と楽観的に捉えていたのですが、カサカサは日ごと増すばかり。ついにはカサカサした皮膚が細かく捲れ始める事態に!さすがに心配になって……
何か塗った方がいいですか?
そうですね。ワセリンを塗っても効果的で…
ワセリンですね!塗ってみます!
とのことでドラッグストアで購入した物がコレです。
「犬用でなくてもいい」と言われたので、極力優しいものをと「新生児にも使えるワセリン」を購入しました。
半透明の淡い乳白色で、無香料(塗った後に違和感をもたれたないよう無香料がおススメです)。形状はクリームとジェルの間という感じで、伸びは良い方だと思います。なにせ毛が生えている箇所に塗るので、「すっごい伸びる~!塗りやす~い!」と感動するほどではありません。ベタつき少なく、しばらく経ってから塗った箇所を触るとしっとりしている感じです。
ロンのお腹に塗ってみたところ、塗った直後でもお腹を気にする様子は全くなし。よしよしと続けた結果、1日に1度塗るだけでカサカサ具合が少しずつマシになっていきました(効果は3日以上塗った頃から感じ始めました)。
しかし!
私は一度、ワセリンの使用をやめています。というのも塗り始めた翌々日、ロンにこんな症状が出たのです。
謎の赤いデキモノが出ました。
ボヤけていて少し分かりづらいですが、うっすらと赤いデキモノが出来ています。よく見ると中央はプクッと小さな山に。実に痒そうなデキモノですが、痒がる様子はありません。おそらく「プレドニゾロン錠」が効いている体なので、痒みが出ないのだと思います。
原因が分からない私は、日常生活の吹き出物(食事の脂質が多かった等)と解釈し、その日も赤いデキモノを避けつつワセリンをヌリヌリ。すると翌日、
増えてるー!!毛を掻き分けてみました。
まさにデキモノ、吹き出物です!
ワセリンが原因か!?
使用をやめると治まりました。なんてこった…。
あまり「ワセリンでデキモノが出来た」という話は聞かない(人間も含めて)ので、おそらく副作用によって皮膚が薄くなっている体にはダメなのだろう…と、塗り続けることを断念。
けれども1ヵ月後。
細かく寄っていたシワがさらに細かく…まるでウロコのようになってきてしまったのです。
皮膚がウロコ…?
「魚鱗症(ぎょりんしょう)」という症状をご存知でしょうか。
読んで字のごとく、皮膚が魚のウロコのようになってしまう病気。
人間でも同名の病がありますが、今伝えたいのは「犬の魚鱗症の症状」です。情報も画像も少ないですが、確認したいと思われた方は一度「犬 魚鱗症」で画像検索してみてください。
皮膚がウロコのように細かくペキペキ浮いている(半分ほど盛り上がっている)ように見えます。ペキペキ部分が薄い皮膚と硬い皮膚で形成されているワンちゃんもいるようです。
ロンの場合は、薄い皮膚が細かくシワを寄せ、カサカサしていることでウロコのように見えました。
下の写真は、そんなウロコ具合が酷くなる1ヵ月前の写真。赤いデキモノが増えた時に載せた写真のお腹部分を拡大したものです。
この時点でもそこそこ普通じゃありませんが、ここからさらに細かいシワが細かさを増し、浮き上がってきました。浮き上がった皮膚は自然と剥がれ落ちるもの・そうでないものと半々くらいで、基本的につまむと簡単に剥がせます。
この状態を、本当に魚鱗症を患っているワンちゃんの皮膚に似ているなんて軽々しく言うと「そんな甘くない!」と気分を害されるかもしれませんが(申し訳ありません)…
やっぱり何か塗らないと!
お腹付近から足の生え際まで進行し始めたこともあり、さすがに焦りました。
このままでは毛まで抜け落ちてしまいそう…。
けれど人間の別の薬用クリームは効果が強そうで怖い!やっぱりワセリンを塗るしかないか…
ということで、私は再びワセリンぬりぬりを再開。恐る恐る少量のワセリンを指に出し、ロンのお腹の一部に薄~く塗ってみました。すると、
…あれ?デキモノ、デキナイ!
翌日塗っても翌々日まで塗り続けても、以前のような赤いデキモノは出来ません。3日目には皮膚のペキペキが少し治まってきたように見えました(塗ることで、浮いていた皮膚も少しずつ剥がれて)。半年以上塗り続けた今では、シワこそあるものの浮き上がった皮膚は見受けられず、乾燥肌から脱したように思います。
ならば、あの赤いデキモノの原因は何だったのか。
その時の体調のせい?
…いいえ。おそらく私がワセリンをたっぷり塗りすぎたせいで毛穴に皮脂が詰まり、デキモノを出現させてしまったのだと考えます。…そう、
ワセリンは悪くなかった!
疑ってごめんよ…ワセリン。
実際その後、少しダマになってしまった時は再び赤いデキモノが出現しました。現在は半年以上塗り続けた成果なのか、耐性が出来た、もしくは肌の調子が良くなってきたようで、「多すぎたかも…?」という時でも赤いデキモノが出来づらくなっています(最近は肉球にも塗り始めました)。
ただ、犬は基本的に人間の何倍も皮膚が薄い生き物。そこまで症状が酷くないなら、1日置き程度に塗るくらいで充分に効果があるのかもしれませんね。
私のような失敗をしないために、ぜひ以下のことを意識して塗ってください。
1.ワセリンを少量だけ出す
足りないかもと思うくらいで良かったりします。
はじめての時は特に少量を一部分のみに塗ってお試しください。
2.患部に極少量ずつ、点々と乗せる
塗りたい範囲に点々と置いていきます。なお、点と点は近くなりすぎないように。近くなると塗り広げた際にワセリンが重なり、結果として厚塗りしていることと同じになってしまいます。
3.これでもかというくらい塗り広げる
薄く薄くをイメージしながら指で塗り広げます。
ツンツルテンで毛の生えていない患部であれば問題ないのですが、毛が生えている場合は非常にダマになりやすい(ワセリンが毛に絡まる)のでご注意を。入念に塗り伸ばしてください。ナデナデしすぎだろ!というくらいで丁度良いです。ワンちゃんとのマッサージタイムを兼ねて、ゆっくりワセリンを伸ばしましょう。
4.塗った後は常に経過観察!
赤いデキモノが出来たら一旦お休み(3日ほどすると治ります)してください。
無理して塗り続けずとも、デキモノが良くなってから再開しても大丈夫です。再開する際は以前より薄く塗ることを心掛けましょう。それでもダメだった場合は獣医さんに相談を。元からワセリンが体に合わない可能性もあるので、病院でしか取り扱いのない塗り薬に切り替えなければならない場合もあります。
塗る際は薄く薄~くです。
薄く塗っても続けていると必ず効果を感じられます。「しっかり塗っておいた方が良いはずだ!」「たっぷり塗って早く治してあげたい!」と愛ゆえにドバッと塗ると、赤いデキモノが出現しますよ!その点だけはお気をつけて…。
さて。
これらの症状を見てきて、ピンと来ている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
…クッシング症候群になってるんじゃね?
そうなんです、ステロイドの副作用はとても似ている症状が多いのです。ちなみにクッシング症候群の症状例は以下の通り。
クッシング症候群の症状例
①多飲多尿
②脱毛(左右対称)
③皮膚が薄くなる
④筋力の低下(下腹がぽっちゃりする)
⑤息が荒い
⑥元気がない…などなど
ザッと挙げただけでも約半分(②③④)が一致しています。
実際、ステロイド薬によってクッシング症候群を発症することもあるそうです。ロンは現在その状況にありませんが、今後も注意深く観察していく必要のある病の一つであることは間違いありません。
…というわけで。
以上が「プレドニゾロン錠」を1年飲み続けて見えてきた変化でした。
我が家のロンはおそらくこの先も「ステロイド薬」を飲み続けます。もし卒業することが出来た時、もしくはさらに月日が経った頃に、またの追加報告をしたいと思います!
ご覧いただきありがとうございました